自閉スペクトラム症に気づいてケアするプログラム(ACAT)
自閉スペクトラム症に気づいてケアするプログラム(ACAT)とは
千葉大学の大島郁葉先生らの開発されたACATというプログラムを実施しています。
このプログラムは、自閉スペクトラム症(Autistice Spectrum Disorder:ASD)と診断された方に対して実施するストレスマネジメントを目的とした認知行動療法のプログラムです。
このプログラムは「ACAT(エーキャット)」と読みます。Aware(気づく) and Care(ケアする)for my Autistic Traits(ASDの特性)という英語の文章の略語です。
自閉スペクトラム症の人は、ASDの特性があるがゆえに、生活していくうえでいろいろな「困ったこと」が起きやすいことが分かっています。ACATでは、ASDの特性に関連する「困ったこと」を減らし、社会適応と心理的適応を高めることを目的としています。
このプログラムは、一回100分で親子での参加をお願いしています。基本的に週一回、全部で六回の長さで実施します(事前の数回のインテーク面接は除きます)。ただし、毎週通うのは難しいという方は、ご相談に乗りますので仰ってください。
ACATの流れ
ACATの流れを簡単に説明します。
①問題に気づく
ASD は、その特性から様々な問題が起こりやすいのですが、特性そのものは目に見えないので、自覚しにくいといえます。ACATではまず、ASDの特性について知ります。ASD には、あなたの生活を楽しくするような「強み」も、あなたや周りを困らせるような「弱み」もあります。あなたのASDを理解していくと、自分のASDの特性がどのように毎日の生活での中で自分に影響を与えているか、気づけるようになります。
② 問題のからくりを理解する
ASDからくる問題には「からくり(パターン)」があります。その「からくり」を見つけると、そのからくりを解くヒントを思いつくことができます。そのためACATでは、あなたのASDからくる問題のからくりのパターンをはっきりさせます。
③ 問題をケアする
ここでは、あなたのASDの特性と関連した問題に着目し、どのような工夫や配慮があなたの適応を上げるかを考え、実行します。
ACAT経験者の体験談
前勤務先で、ACATを体験された方の体験談です。
「最初はACATについてよくわからないまま進めていました。
正直当時はこれをやったところで何にも変わらないと、完全に高をくくっていました。
ですが、自分の特性を理解し向き合い、社会への不適応を減らすために行動していくうちに、このプログラムが自分に大きな変化をもたらしていることを実感できるようになりました。
自分の行動パターンを把握することで不適応が起こる前うまく立ち回れたり、生活しやすくするために周りに配慮を求めることができるようになりました。
何よりこれらの課題をこなしてきたということが自信につながり、日々明るい気持ちで過ごせるようになりました。 心からACATを実施してよかったと思っています。(ご本人)」
「娘がASDと告知されてから、いろいろな書籍を読んだり、ネットで情報を得たりしていましたが、実際にうちの子にできることというと漠然としたイメージしか持てていませんでした。
ACATを実践してみて、娘への理解がより深まったと感じています。また、親・家族としてどんな工夫をしたらよいかが明確になり実行に移せるようになりました。
日常生活の中で不都合が起きたときはどの特性が起因となっていて、どのように対処したらよいか、本人が主体的に考え答えを導き出したことは、大きな成長につながったのではないかと思います。
プログラムを終えて娘は以前より前向きになり、新しいことにも挑戦するようになりました。 長い間カウンセリングで見守ってくださり、ACATを実施してくださった早川先生に心より感謝しております。(お母様)」
ACATのメリット
メリットとしては、ASDの当事者である方ご本人・ご家族が、ご本人の特性についての理解を深められることがあると思います。
ご本人にはどんな特性があり、それが生活の中でどんな問題につながっているのか、どのように対処したらいいのかが分かりやすくなるということが大きなメリットだと感じます。
上記の感想を書いてくださった方は、ACAT実施前に一年以上心理面接を実施しており、状態は非常に改善していました。もう終結してもいいかと思っていましたが、私からの勧めでACATを実施しました。
初めのうちはご本人もお母様も戸惑っている様子が見られましたが、「特性に名前を付ける」あたりからご本人の様子が変わってきたように感じます。
かなり熱心に面接に参加するようになり、宿題もきちんとやってきてくださいました。
ご自分でも書かれている通り、大きな変化を感じられたのだなと思います。表情も明るくなり、面接の中での言葉も増えたように感じました。ACATを実施して、ご本人の様子が大きく良い方に変わったと感じています。
もしご参加を希望される場合、まずは一度ご連絡ください。ACATが実施できるかどうか、一緒に考えましょう。
引用:「自閉スペクトラム症に気づいてケアするプログラム(ACAT)のご案内」国立大学法人千葉大学
「自閉スペクトラム症に対するストレスマネジメントを目的とした認知行動療法(ACAT)①」認知行動療法サポーター
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