強迫症状とは?
強迫症状とは、「強迫観念」「強迫行為」のことを言います。 「強迫観念」とは、きわめて強い恐怖感や不安感のことです。たとえば、「手が汚れているのではないかと気になって仕方がない」「鍵をきちんと閉めたか気になって仕方がない」といった考えのことです。 「強迫行為」とは、強迫観念を打ち消すために繰り返し行う行為のことです。たとえば「手を一日に何十回、何百回も洗う」「鍵を閉めたかどうか気になって、何度もドアノブを引いてしまう」などの行為です。 こうした考えや行為が、日常生活に支障を及ぼすほどに強くなってしまうことがあります。「鍵の確認をして、会社に遅刻してしまう」などの場合です。 原因は脳の神経伝達物質の調節障害や、脳のある部分の活動性の異常が影響していると言われています。対処法としては、認知行動療法(その中でも特に暴露反応妨害法(ERP))や薬物療法が一般的です。また、ストレスマネジメントやリラクゼーション法を取り入れることも有効です。
強迫症状の基礎知識
強迫観念とは
「強迫観念」は、不安や恐怖によって引き起こされる心の状態です。これによって日常生活に支障をきたすことも少なくありません。心の中で繰り返し同じことを考えるといった強迫的な思考も一般的です。たとえば、他人に害を与えてしまうのではないかという不安や、家を出る際に何かを忘れたのではないかという不安など、様々な強迫的な思いが生じることがあります。
強迫行為とは
強迫行為としては、手を何度も洗う、物事を何度も確認する、特定の順番で物事を行うなどの繰り返し行動が挙げられます。
これらの症状は日常生活に支障をきたすため、早めの適切な治療が重要です。認知行動療法や薬物療法など、適切な治療法を見つけることが大切です。
強迫症状について詳しく見る
強迫症状は、具体的な行動や思考によって特徴付けられます。例えば、手を洗う、カウントする、物を並べ直すなどの行動(強迫行動)があり、それらに関連した強い不安や緊張が繰り返し生じます。
これらの行動や思考は、一般的には合理的な範囲を超えており、本人自身もその過剰な性質を理解していることがあります。
強迫症状は、日常生活において支障や苦痛をもたらすことがあり、社会的・職業的機能の低下や人間関係の悪化を招くことがあります。学生の場合は、学校に通えないなどの問題が生じることもあります。
一方で、強迫症状は理解しやすい症状の一つであり、通常の生活を送っている人でも「鍵をかけ忘れたかも」と思って家に帰ってみることはあるかもしれません。しかし、強迫性障害の方は日常生活に支障が出るような状態になっていると言えます。
強迫症状のタイプ別症状
強迫性障害(OCD)には、さまざまなタイプの症状があります。
・不潔恐怖・洗浄強迫
一つは洗浄や清潔関連の強迫観念と強迫行為です。これにより、手を洗い続けたり、物を清潔に保つことに異常な執着を持つことが特徴です。
・加害恐怖
誰かに危害を加えたかもしれないという不安があり、新聞やテレビに事件・事故として出ていないか確認したり、警察や周囲の人に確認したりします。
・確認行為
次に、確認や疑念の強迫症状があります。過度な不安や不安定な情報により、何度も物事を確認したり疑念を持つことがあります。
・儀式行為
自分の決めた手順でものごとを行わないと、恐ろしいことが起きるという不安から、どんなときも同じ方法で仕事や家事をしなくてはならない場合があります。
・物の配置へのこだわり
並べ直しや整頓の強迫観念も一般的なタイプです。物の位置や整然とした状態に異常な執着を持ち、これを繰り返して行います。
・思考や言葉に関連した強迫
具体的な言葉や頭の中で繰り返し再生する言葉が特定の行動を引き起こすことがあります。
強迫症状の治療方法
強迫症状の治療には、認知行動療法(CBT)や薬物療法が用いられます。CBTでは、患者は自分の強迫観念を見つけ、それらを扱う方法を学びます。曝露反応妨害法(ERP)と呼ばれる手法が多く使用されます。
CBTと薬物療法を組み合わせたアプローチも効果的であり、個々の症状や患者の状況に合わせて治療方法が選択されます。
心理療法による治療(曝露反応妨害法ERP)
認知行動療法(CBT)は、自身の強迫観念や強迫行動を見つけ、それらを扱う方法を学ぶことを目的としています。
まず最初に行われるのは、「心理教育」です。強迫性障害がどのような心の動きで生じているのかを学びます。
曝露反応妨害法(ERP)の「曝露」とは、強い不安が生じてもすぐにそれを鎮静化しようとせずに、不安に自分自身をさらす(曝す)ことです。心理学では、不安に自分自身をさらしていると、時間の経過とともに不安が下がっていくことが確認されています。「反応妨害法」は、一時的に不安を鎮静化するために行ってきた強迫行為を行わないようにする方法です。
毎回、次の回までの宿題を一緒に考え、それを実施してきます。次の回では、宿題がどこまでできたかを振り返り、新しい宿題を考え、試していくという方法を続けていきます。
薬物療法による治療
薬物療法による強迫症状の治療では、主に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や三環系抗うつ薬などが使用されます。これらの薬は、脳内のセロトニンなどの神経伝達物質の働きを調整することで、不安や強迫観念を和らげます。
薬物療法の効果には個人差がありますが、症状の緩和や日常生活への影響の軽減が期待されます。ただし、薬物療法には副作用や依存のリスクもありますので、必ず専門医の指導のもとで適切な処方と経過観察が必要です。
また、薬物療法は単独で行われることもありますが、一般的には認知行動療法などと組み合わせて行われることが多く、症状の改善や再発の予防に有効であるとされています。患者自身の症状や身体状況に合わせて、最適な治療計画が立てられます。
自助グループやサポート
強迫症状を抱える人々のための自助グループやサポートシステムは重要です。同じ経験を共有することで、孤独感を減らし、理解を得ることができます。グループセラピーは他者とのつながりを築き、希望を見出すための場となります。また、オンラインコミュニティや情報提供団体も貴重な支援を提供しています。
強迫症状への日常生活での対処
強迫症状に苦しむ人にとって、日常生活での対処法は非常に重要です。まずは、ストレスをできるだけ減らすことが大切です。自分にとってリラックスできる趣味や活動を見つけ、それに時間を割くことで、心の安定を保つことができます。また、日常生活の中でのルーティンを整えることも有効です。さらに、強迫症状に対する情報を正しく理解し、家族や友人とコミュニケーションをとることも大切です。互いに理解し合い、サポートし合うことで、日常生活での対処がしやすくなります。
ストレスマネジメントとリラクゼーション
強迫症状に悩む人にとって、ストレスマネジメントとリラクゼーションは重要な要素です。日常生活でのストレスを軽減するためには、自分に合ったリラクゼーション法を見つけることが大切です。例えば、深呼吸や瞑想、ヨガ、または自然の中での散歩などが効果的です。リラクゼーションを行うことで、症状を和らげることができます。また、ストレスマネジメントでは、ストレスを引き起こす要因を特定し、それに対処する方法を見つけることが重要です。仕事や家庭などの環境を整え、バランスの取れた生活を送ることで、ストレスを軽減しやすくなります。日常的なストレスを軽減することで、強迫症状の緩和につながります。
強迫行為をコントロールする技術
強迫症状を抱える人たちにとって、強迫行為をコントロールすることは重要な課題です。
強迫行為を思考停止するためのテクニックを身につけることが重要です。たとえば、深呼吸やマインドフルネス、リラックス法などの方法を取り入れて、強迫行為が起こる状況で冷静さを保つことが求められます。さらに、専門家から学んだ認知行動療法の手法を日常生活に取り入れ、段階的に強迫行為をコントロールしていくことが重要です。このような技術を使いながら、強迫症状と上手につき合っていきましょう。
まとめ
強迫症状は、日常生活に深刻な影響を与える可能性があります。しかし、適切な治療や対処法を用いることで、症状を克服することが可能です。認知行動療法や薬物療法など、専門家の助言を受けながら、様々なアプローチを試してみましょう。また、セルフケアも重要です。ストレス管理やリラクゼーション法を取り入れ、心身のバランスを整えることで、症状の軽減につながる可能性があります。周囲の理解とサポートも大切な要素です。自分だけで抱え込まず、信頼できる人とのコミュニケーションを大切にしましょう。
強迫症状で苦しんでおられる方、ご家族の方は、なぎさ心理相談室にご相談ください。
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