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合理的配慮について その2

合理的配慮とは

Xでの私の投稿に対するみなさんの反応から、合理的配慮についてと特別支援教育について調べ直して、ブログに上げますね、と言ってからすでに数日経過しています。


書いてみようと思いながら、時間がなくてなかなか取り掛かれなかったのですが、ようやく取り掛かりました。

しかし。
これまとめるの大変だなーということに気づきました。
結構な分量になりそうなので、まとめたところからブログに上げていくことにします。
気長におつきあいください。

とりあえず今日は「前例がない」は合理的配慮を断る理由にはできません。大事なところはここだけです!

さてまずは、合理的配慮の義務化についての内閣府からの書類を読んでいます。
ここに書いてあることは、本当に学校現場、特に現場の教師には知られていないんだろうと思います。
「前例がないので」と合理的配慮の提供を断られたという例が、SNSにはたくさんあります。
けれど、この書類の5ページ目にきちんと書いてあります。
『「前例がありません」 合理的配慮の提供は個別の状況に応じて柔軟に検討する必要があります。前例がないことは断る理由になりません。』
さらに続けて、このようにも書かれています。
『「特別扱いできません」合理的配慮は障害のある人もない人も同じようにできる状況を整えることが目的であり、「特別扱い」ではありません。
「もし何かあったら…」 漠然としたリスクだけでは断る理由になりません。どのようなリスクが生じ、そのリスク低減のためにどのような対応ができるのか、具体的に検討する必要があります。
「○○障害のある人は…」 同じ障害でも程度などによって適切な配慮が異なりますので、ひとくくりにせず個別に検討する必要があります。』

どれもSNSでよく見る話ですね。これらは合理的配慮の提供を断る理由にはなりません。
ここだけは、本当に学習障害(発達性読み書き障害)の子どもを持つ保護者の方に覚えておいてほしいところです。テストに出ますよ!


次に「合理的配慮」の歴史について見てみます。

平成28年(2016年です。私は和暦はさっぱり分からず、子どもたちの誕生年も西暦でしか覚えられていません。脳出血したからかな?数字にはとことん弱いです)4月1日に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」では、障害のある人への不当な差別的取り扱いを禁止し、合理的配慮の提供を求めています。
この書類の時点ではまだ、「前例がないことは断る理由にはならない」とは書いていないです。まだ合理的配慮の提供を始めるところなので、そのような対応があることは想定していなかったのかもしれません。
合理的配慮の提供は、平成28年から地方公共団体には義務がありました。しかし事業者には提供義務ではなく、努力義務でした。今年の4月からは、事業者にも提供の義務となりました
つまりは、これまでも地方公共団体ですから、公立の学校には合理的配慮の提供義務があったわけです。それなのに提供されてこなかったわけです。問題ですね。

では、事業者とはどのような団体になるのでしょうか。
こちら(株式会社Kaien)のホームページによると、「合理的配慮義務の対象となる「事業主」は、全ての事業主が合理的配慮の法的義務の対象とされています。企業の大小に関わらずすべての会社に義務付けられるということですね。」とあります。全ての事業主が対応しなければいけないということのようです。
また、ここで大事なことは障害者本人から申し出る必要があるということです。ただし、子どもの場合は保護者からの申出でも大丈夫です。

では、「障害者」とはどんな人になるのでしょうか。
「障害者」とは、障害者手帳を持っている人のことだけではなく、 身体障害のある人、知的障害のある人、精神障害のある人(発達障害や高次脳機能障害のある人も含まれます)、その他心や体のはたらきに障害(難病等に起因する障害も含まれます)がある人で、障害や社会の中にあるバリアによって、日常生活や社会生活に相当な制限を受けている人全てが対象(障害のあるこどもも含まれます)と書かれています。
手帳の有無は関係ありません。

合理的配慮の具体例も載っています。
学習障害の人から「文字の読み書きに時間がかかるため、セミナーへ参加中にホワイトボードを最後まで書き写すことができない」という申し出があった場合、「書き写す代わりに、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット型端末などで、ホワイトボードを撮影できることとした」とあります。
こんなことができるんですね!

合理的配慮の義務化についての内閣府からの書類では、合理的配慮の提供義務に反しない場合についても触れられています。
『「合理的配慮」は、事務・事業の目的・内容・機能に照らし、以下の3つを満たすものであることに留意する必要があります。
① 必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること
② 障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること
③ 事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと

事業者側に過剰な負担となる場合は、合理的配慮の提供は義務とならないことがあります。
例えば、以下のような場合が載っています。
・飲食店において食事介助を求められた場合に、その飲食店は食事介助を事業の一環として行っていないことから、介助を断ること。(必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られることの観点)
こういう例は分かりやすいですね。でも学校現場ではもっといろいろな要素(教師、生徒、本人、それぞれの関係、性格など)があり、複雑ですね。

とりあえず、今日のところはここまでとします。
次回は、合理的配慮提供のための建設的対話などについて書きたいと思います。

今日のまとめ
・合理的配慮とは、平成28年から地方公共団体には配慮提供の義務があった。令和6年4月からは、事業者にも合理的配慮提供の義務が課されることになった。
・合理的配慮が提供される「障害者」とは手帳の有無とは関係なく、障害や社会の中にあるバリアによって、日常生活や社会生活に相当な制限を受けている人全てが対象。
・「前例がない」「特別扱いできない」などの理由は、合理的配慮の拒否の理由にはならない。

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